あの人、いいかも。

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From：海東和貴
東京ミッドタウンのスターバックスより

伊坂幸太郎さんの小説
『オー!ファーザー』に、
このような台詞があります。

『人ってのは、自分が信じたい、
と思っていることを信じるんだよ。
それと、その噂が面白いもので
あればあるほど、広く伝わっていく。』

例えば、洗顔の方法。
肌メンテナンスのための洗顔方法には諸説あって、
石鹸でしっかり洗うというものから、
石鹸を使わずにぬるいお湯だけで洗う、
というものまであります。
これはどちらか一方が満点で
もう片方が零点というものではなく、
結局のところ、個人の好みと
相性に終止する話です。

一方で、「石鹸でしっかり洗う」という方法に
何かしらのシンパシー（共感）を感じて、
それを採用したい、信じたいと思っている人は、
それに類する記事や情報にアンテナが立ち、
そうでない方を支持する記事や情報が
目に入らない状態になるか、もしくは目に入っても
「やっぱり言ってることが何かおかしい」と
反論要素を見つけ出して、
自身の価値観を増強する材料に使ったりします。

結局のところ、人間の心理は
“理性”に基づいたものではない、ということです。

自分の内面だけに焦点を合わせれば
「自分の行動や選択は理性に基づいている」
と思ってしまいがちです。
対して、自分を外からみたとき
「自分の行動や選択は理性に基づいて“いない”」
ということに気がつくこともあるはずです。

人間は自分以外の人の“理屈”ではなく、
自身の“理屈”によって物事を判断し、行動します。
そして、それらの“理屈”が
“理性”に基づいていることはほとんどないのです。

ここまでの内容を、違った切り口で書きます。
私たち人間が何かしらの決断を下す際、
まずは無意識下で最初の決定がなされ、
その後に自身の“理屈”によってその決断を補強します。

何事も“恋愛に例えるとわかりやすい”と思っている私が、
ここでもまた恋愛に例えてみましょう。

あ、この人、良いかも！
とビビっと来る瞬間というのは、
“理性”ではないはずなんです。
無意識下で何かしらの反応が起こっています。
そしてそれを人に伝える際に
「どこを好きになったの？」と訊かれて、
自身の“理屈”によって「顔が好み」「スタイルが好み」
「性格が好み」と理由を言語化していくことになります。

ビジネスというのは、
仮にその事業が“BtoB”だったとして、
最終的には“人と人との繋がり”で
意思決定がなされて成長していくものです。
相手がどんな“理屈”を持ち、
どういう意思決定をしているのかな？
との視点を忘れないことで、
更に成長するものがあるはずです。